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Grand Seiko SEIKO 130th Anniversary Commemorative Edition

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  Grand Seiko セイコー創業130周年記念 限定モデル

 2011年バーゼルで発表され、是非とも手に入れたいと思った 1st GS復刻モデルです。できる限りの情報を集め、期待が確信になり某百貨店の担当の方に予約したい旨の連絡しました。手配は済ませ、更なる情報収集に励んでた3月11日に東日本大震災という未曽有の出来事が・・・。

 

 Richard Lange を上がりの時計と紹介しましたが、あくまで雲上モデルでの上がりでGSは別腹。妻の許可も事前報告で取ってるので堂々と購入。

 

 GS の製造は雫石をはじめ、福島県にも関連企業がありましたので「デリバリーの遅れは仕方なし」と思ってましたが、予定通りデリバリーを開始し納品に至ったという経緯があります。その年の秋だったか?時計ジャーナリストの方から、震災時の関連企業の状況など話しを伺う機会があり、GS130記念モデルに対する思い入れが一層強くなりました。

 特に記憶に残ったのがケースを製造した林精機です。壊滅的な被害を受けたにもかかわらず、工作機械やケースの仕掛品を倒壊した工場から救出し、4月中旬には研磨と組み立てが再開し、6月6日には製造の全工程が再開され遅れることなく完成させ、納期までの復旧不可能と思われた緊急事態を見事乗り切ったのです。

 これには同社と関係が深いセイコーインスツルの協力があったのですが、話しが長~くなるので割愛します。

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  130周年記念限定モデル(以下130周年モデ)はプラチナ、イエローゴールド、ステンレスの3種類が発表されましたがステンレスモデルのみ青焼きの秒針を採用。青焼きの秒針に魅了されステンレスを選んだ方が多いかと思います。私もその一人ですが。

 何より、モデル名には『復刻』などの表記がなかったものの1stを忠実に再現されてることが嬉しかったです。120周年記念モデルを知ってると余計にそう思うかもしれません。細部を見ると加工技術などの向上により「仕上げのシャープさ」や「歪みのない面」が違いますが当然のこととして受け止めます。

 現行品にないスッキリとした文字盤がお気に入りです。愚痴になりますが、現行品のGS、Grand Seiko、SEIKO の文字盤の乱列は閉口してしまいます。

 

 1stとの文字盤上の大きな違いといえばクロノメーター表記がなくなったことですが全く気になりません。スイスB.Oクロノメーター規格を大きく凌駕するGS規格を採用してますから。 

 スイスブランドを目標にした当時の背景から、1956年のマーベル、1959年のクラウン。それから僅か1年でGS の発表になるので如何にスイスブランドを意識して送り出したかが伺い知れます。それでも当時のスイスブランドには遠く及ばないと思いますがスタート位置に並ぶ第一歩だと思います。

 

 ケースサイズは35.8mmX11mmと僅かながら1stと比べるとサイズアップしてます。細部を見てみると、文字盤の地がエッチング加工で荒らされ、針は5面ダイヤモンドカット。そしてエッジが効いたアプライドインデックス。加えて針をよく見ると先端部がやや折り曲げられ時刻を示すようになってます。

 ベゼルにはサファイア製のボックス型の風防を支えるため「タメ」が設けられています。風防は、1stのドーム型の風防とは違った現代だからできる技術として許容範囲です。

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  厚いと思った11mm。2番車と4番車を重ねるセンターセコンドのため、先に紹介した Richard Lange より0.5mm厚みがあります。その厚みを感じさせないようにする作りは所有者によってのみ実感できます。

 時計各メーカーは、本体に厚みがない場合は立体感をいかに出すか、または厚い場合はいかに厚みを感じさせないかを各社それぞれ工夫を凝らしてますので機会があれば見比べてください。 

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 cal.9S64

・24石

・28,800振動

・パワーリザーブ約72時間

・3気圧防水

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 cal.9S65から自動巻き機構を省いただけと揶揄されることもありますが、手巻きの利点を生かし4分の3プレートを採用して安定性を増してます。しかし、前作の9S54と比べ、髭ゼンマイと脱進機は最新の素材・製造技術を採用したために優れた等時性があり、ムーブメント単体でも約1万A/mという高い耐磁性があります。パワーリザーブも3日間に伸ばすことができました。

 

 裏ブタがソリッドケースのためcal.9S64を眺めることができませんが、4分の3プレートにはコート・ド・ジュネーブが施されたりと見どころはあると思います。どうしても見たいのならシースルーバック化するのも選択肢の一つだと思います。 

 2番車と4番車を重ねる手法は、ETA1100系が採用してましたが成功を収めたのは日本のメーカーだけです(シチズンも採用したような記憶があります)。デメリットの克服として、香箱の容積が取れないために薄型自動巻きマジックレバーを開発し対応。そもそもの生産性に起因するのですが物作り日本の賜物じゃないんでしょうか。 

  参考までに1stモデルはcal.3180で、ベースはクラウンのcal.560(後の57系)。詳細は割愛します。

 

 購入以来ガンガン使ってますので、ケース、ラグ、尾錠は傷だらけ。ベルトも牛革のクロコ竹斑模様型押しに代替え。傷の数だけ愛着が増しています。